「あの男」が従える3人の側近の一人。戦闘能力は極めて高く、平時のソルを上回るほどである。また、任意の時間と場所に移動できる能力を持っており、彼女はこの先の未来を何度も経験している。その力に有用性を感じた「あの男」がイノに同行を求めたが、彼女が「あの男」の理念に賛同している様子はない。しかし利害が一致している点において、イノにとっても「あの男」は護るべき対象として主従関係が成立している。
イノの出自に関する情報は無く、その過去を知る者は「あの男」や本人を含め存在しない。彼女は自分の中に眠る記憶と、精神的な「渇き」の正体を探るべく、ただ一人、一定周期の歴史を繰り返し体験している。そしてこれから世界に何が起きるのかも知った上で、その通例的な顛末に変化を求めている。

ラムレザルの声明が全世界に向けて発信された。イノにとってこの事件は初めての事ではなく、幾度も繰り返し見てきた冗長な未来に過ぎなかった。しかし今回は彼女にとっても稀有な存在である「あの男」を歴史に巻き込んでいる。微かな光明に期待を膨らませ、イノは日本跡地へと向かった。

馴れ馴れしく近寄ってきては親しげに話しかけ、一見すると人当たりが良い。女性の色香を武器として、男を惑わすような態度を取ったりもするが、 その実、微塵の協調性も持ち合わせてはいない。「あの男」を含め、全ての人間を足元に見てからかっている。腹立たしい出来事やイノが本能的に警戒する人物に対しては、激しく気性が荒ぶる。
イノは、自分の偏執的な性格を客観的に把握しており、それが自らの心の奥底にある「渇き」によるものであることも知っている。しかしそれが何に起因するものなのかは解っていない。